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| 環境にやさしい機能水を用いた洗浄技術 第4回「オゾン水の用途事例と効果1」
野村マイクロ・サイエンス(株) 自在丸隆行
1.はじめに オゾン水とは、オゾンガスを超純水に溶かした機能水です。オゾンガスは、不安定な分子構造であるため徐々に分解し酸素になるのですが、その際、極めて反応性の高い1原子の酸素を放出します。 O3 → O2 + O 放出された酸素原子(ラジカル、活性酸素ともいう)は、塩素以上の酸化力があるため、金属を酸化し、有機物を酸化分解します。このため、オゾン水は、シリコンウェーハやガラス基板上に付着した金属や有機物を除去できます。
2.用途事例 オゾン水は、表-1に示すとおり、溶存オゾン濃度(mg/ℓ)に応じて、色々な用途があります。半導体・液晶製造工程の洗浄で使用されているオゾン水は、濃度5〜20mg/ℓがもっとも多く利用されています。今回は、この5〜20mg/ℓオゾン水の用途事例について、ご紹介します。
表-1 オゾン水の用途
@有機物除去 図-1は、液晶ディスプレイ用ガラス基板に製膜した各種薄膜基盤をクリーンルーム環境に放置した際に分子吸着した有機物をオゾン水処理した結果です。
図-1 オゾン水によるガラス基板上有機物除去1)
ガラス基板は親水性のため、接触角は低くなります。クリーンルーム環境にしばらく放置すると表面には有機物が付着し有機物は疎水性のため、接触角は大きくなります。これを指標にガラス基板や、薄膜表面の接触角を評価した結果です。図-1から、すべての薄膜において接触角が低くなり、有機物が除去されていることがわかります。このことから有機物はオゾン水によって酸化分解され、低分子の有機酸となり水で洗い流されたものと考えられます。
A金属除去 シリコンウェーハ表面から洗浄除去するのに困難な金属としてCu(銅)が知られています。図-2にCuのpH-ORPダイヤグラムを示します。
図-2 Cu pH-ORPダイヤグラム1)
金属を除去するには、イオン化して水に可溶とする必要があり、図-2の腐食(図中のCORROSION)の領域にする必要があります。具体的にはpH7で、ORPが0.2V以上の領域となります。オゾン水の場合、常温で、塩酸や弗酸を組み合わせることで、この領域内にすることができ、Cu除去を実現できます。
B化学酸化膜形成 洗浄とは異なりますが、シリコンウェーハ表面は活性であり、クリーンルーム中に放置していると、空気中の酸素と結合して自然酸化膜を形成します。また、このとき空気中のさまざまな不純物も取り込むため、清浄でない汚染された表面となります。この防止方法として、短時間にシリコンウェーハ表面に自然酸化膜を形成させる手法としてもオゾン水が使われています。図-3は、弗酸で、シリコンウェーハ表面の酸化膜を除去したのち、オゾン水20ppmでシリコンウェーハ表面に酸化膜を形成させたときの酸化膜の厚さを調べた結果です。
図-3、オゾン水によるシリコン酸化膜形成1)
オゾン水を10sec程度あてることで、酸化膜がほぼ形成されることがわかります。また、弗酸による酸化膜除去とオゾン水を併用してシリコンウェーハ表面を清浄化する技術もあります。2)
3、おわりに オゾン水は、従来の洗浄剤とは異なり、自己分解性を持つことから、表面での残留性はなく、また利用しなかった余剰オゾンは自然分解することから、環境負荷が極めて低く、環境にも大変優しい洗浄水として、さらに活用の場は今後広がっていくものと思われます。
次回の第5回は、「オゾン水の用途事例と効果2」で、高濃度オゾン水について、掲載させていただきます。
参考文献 1) 初歩から学ぶ機能水 都田昌之 監修 日本産業洗浄協会、p118〜p121 2) T.HATTORI JECS 145,pp. 3278-3284 (1998) |
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