ホーム 上へ

 

 


環境にやさしい機能水を用いた洗浄技術

第6回「水素水の用途事例と効果」

野村マイクロ・サイエンス(株)
技術部NPグループ 柳 基典

米原 祟広

 

1.はじめに

 水素水は水素ガスを超純水に溶かした機能水で、溶存水素濃度は、常温、大気圧下で約1.6ppmが飽和濃度です。また水素水は、強い還元力は持たないため、他のエネルギーや微量の薬液を併用することで様々な効果を発揮します。もっとも多く併用されているものは、超音波で、微粒子除去に用いられています。また、安全性についてですが、水素ガスの場合は、爆発下限濃度が空気中で4%であり爆発の危険性が懸念されますが、水素水の場合は、前述のとおり、超純水中での飽和濃度が約1.6ppmなので、大気中に放出したとしても、非常に希薄なため、換気さえ行えば、爆発の危険性がない、非常に安全で取り扱いやすい機能水と言えます。

 

2.用途事例

 水素水が最も多く利用されている用途はガラス基板の微粒子除去が挙げられます。超純水に超音波を当てると、溶存しているガスがある場合に、キャビテーションを起こし、これにより微粒子を除去する効果は昔から知られていますが、水素水の場合、入力する超音波のエネルギーが小さくても窒素水よりキャビテーションが多い報告1)があり、これにより水素水が微粒子除去に利用されている理由と言えます。

 

@水素水と超音波を利用した微粒子除去

  図-1は、6種類のガス溶解水を用いて、アルミナ粒子が付着したガラス基板に超音波(1.5MHz)を当てながら10秒間洗浄した結果を示しています。

図-1 ガス溶解水と超音波(メガソニック)の洗浄におけるガス種依存性2)

 

  図-1の結果からは、ガスが存在しない@の脱気水が最も微粒子除去効果が低く、Eの他の溶存ガスを脱気したのち水素を溶解した水素水が最も高い微粒子除去効果を持つことがわかります。

 

A水素水と超音波とpH制御を利用した微粒子除去

 図-2は、図-1のA超純水(飽和窒素溶解水)とC水素溶解水(1.3ppm,N2溶存)に、アンモニア水を添加し、pH10.2とした場合に、同様に微粒子除去効果を評価した結果を示します。

  

図-2 ガス溶解水と超音波(メガソニック)とpHの洗浄性2)

 

  図-2のように、pHをアルカリ性に調整することが微粒子除去に対して100%に近い高い微粒子除去効果を発揮したことがわかります。これは、アルカリ性にすることでガラス基板表面のゼータ電位が負となり、微粒子のゼータ電位も負であることから反発効果を促進しているためと推定されます。

 

3、おわりに

 水素水は還元性をもった薬品であり、超音波の併用により効果を発揮し、さらに微量のアルカリ薬品添加で、さらに微粒子除去効果を向上するとても面白い機能水です。今後さらに物理化学的な付加機能をそなえることで、他の用途へも波及する可能性をもった環境にやさしい機能水ではないかと考えます。

 

次回の第7回は、「機能水の製造方法」について、掲載させていただきます。

 

参考文献等

1) 初歩から学ぶ機能水 都田昌之 監修 日本産業洗浄協会、p151〜p156

2) 初歩から学ぶ機能水 都田昌之 監修 日本産業洗浄協会、p150


 

ホーム ] 上へ ]

この Web サイトに関するご質問やご感想などについては、sopt@entegris.comまで電子メールでお送りください。
Copyright (C) 2008 ピューリフィケーション研究会
最終更新日 : 2008/01/09